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神戸・国際先端医療都市への道 (2) 神戸先端医療と阪神経済産業総合特区 |
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神戸・国際先端医療都市への道(2)神戸先端医療と阪神経済産業総合特区 * | |
< ポートアイランドへの医療関連企業等の進出 > 神戸医療産業都市構想の始動から11年…、 神戸ポートアイランド(第2期)の地に進出した医療関連企業等は、 その数、172社・団体(2010年4月28日現在)となりました。 「11年で、医療機器、医薬品、再生医療等医療関連企業 170余社」というのは多いか、少ないか、 意見が分かれるところです。 <多いとする説> 神戸先端医療都市は、 ・「15年前の阪神・淡路大震災の災禍」を起点として、 ・「災害時救急医療の必要性」への洞察をバネとして、 ・ほとんど何もないところからスタートしました。 このようなハンディがあるにもかかわらず、 他の都市に先駆けて先端医療の新分野を開拓し、 短期間のうちに一定の成果を得たことは、 大いに評価されてよいのではないか。 <少ないとする説> 中国・上海にも張江メディカルバレーというのがあって、 ・進出企業数は2008年末現在の数字では、神戸130余社に対して、上海は約 400社。 ・張江メディカルバレー「薬谷」には、世界の製薬会社トップ十位のうち 五社(ロシュやイーライ・リリーなど)が拠点を置いている。 ・上記数値は、2010年4月末現在でも基本的には変りがありません。 先端医療の将来的な可能性を考えれば、170余社は少ないと考えるほかないのではないか。 <170余社というのは多いか少ないか> 私見では、「多いし、少ない」となります。 ・神戸という一都市レベルで考えると、「多く」、 ・国のレベルで考えると、「少ない」のではないでしょうか。 もし先端医療都市に「170余社」という壁があるとしたら、 その壁を超えるためには、一都市レベルで対応するには限界があって、 ここは国レベルでも考えて然るべきではないか。 そういう思いが募っている、この頃ですが、 国レベルで大きな動きがありました。 < 特区税財政でも優遇、医薬産業誘致など、規制緩和幅広く、政府方針 > 本日、2010/04/30付けの「日本経済新聞」朝刊記事で、 「政府は特定地域に限って規制を緩和・撤廃する構造改革特区を大幅に拡充した「総合特区」制度を、 2011年度に創設する方針を固めた。規制緩和だけでなく、税制優遇、政策金融、財政支援などを 集中的に実施し、国内外の投資を呼び込む狙い。東京湾岸や阪神地区の沿岸部に医薬産業を 誘致する案などが浮上している。政府が6月にまとめる新成長戦略の柱とする方向…」 である旨、報じられています。 この「総合特区」は、「日本経済新聞」記事によると、 「特定地域で幅広い規制緩和や許認可手続きの省略を認める。進出した企業の法人税や 固定資産税などを優遇したり、政策金融機関による融資の上限額を引き上げたりする。 国有財産を無償で貸し付けるなど財政面の支援も検討する…」 「具体的には医薬品や医療機器の承認手続きを簡素にしたり、進出企業の研究開発費の 税制優遇を認めたりすることで、製薬企業の研究開発拠点を誘致する構想がある。 保険診療と保険外診療を組み合わせた混合診療の適用を拡大したり、 外国人医師の在留資格の要件を緩和。先進的な医療の提供と温泉滞在などを 組み合わせた「医療観光」の拡大をめざす案もある」というもので、 この「総合特区」の有力候補のひとつに、神戸の先端医療産業が想定されているようなので、 神戸に住む者としては、うれしい限りです。 < 海外に負けない、国際競争力の強化 > 上記「総合特区」のキーワードは、「国際競争力の強化につながる総合特区」。 ・全国一律の従来型分散投資ではなく、一定地域での選択と集中。 ・不採算事業の統廃合と、成長産業・高収益産業への集中投資。 ・関連企業等の特定地域への集積。 上記のような選択と集中による「国際競争力の強化」は、 まさに神戸先端医療がめざしてきた方向に合致しています。 それから、もうひとつ、外国企業の国内誘致も必要でしょう。 神戸ポートアイランド(第2期)の地に集積している医療関連企業は国内企業のみにとどまっていません。 大手外国医療関連企業が、神戸に進出する理由は、 ・自ら開発した製品を日本国内に販売するための拠点 ・自ら開発した製品の日本向けバージョンを新たに開発する拠点 ・再生医療等最先端医療情報の入手拠点 など多岐にわたります。 大手外国医療関連企業を迎えいれる神戸側の利も、 研究開発だけでなく、経済実利の分野でも多大です。 国内外の最先端医療関連企業が集積すればするだけ、 企業間の連携は密になりますし、いい意味での企業間競争も激化して、 神戸の先端医療の国際競争力は、それだけ強化されていくことになります。 上記「総合特区」構想には、もうひとつの注目すべき目新しさがあります。 国際競争力を強化するためには、特区の及ぶ範囲を一産業部門(例えば医療産業)に限定するのではなく、 複数の産業にまたがる地域総合型特区を考える必要があります。 例えば、神戸の総合特区の場合には、 ・スーパー港湾(神戸港)を核として、 ・その周りに、神戸先端医療やロボット産業、観光産業を配し、 ・更には、近未来に出現するかも知れない産業(バイオ産業や低炭素型産業、 幣サイトが提唱する防災産業など)を加えて、 ・神戸の地域経済産業の振興を行う。 ・近隣地域(阪神地区の沿岸部)の経済産業振興も同時的に展開し、 広域にして複合的(複数の産業にまたがる)な「総合特区」をつくる。 ・神戸の先端医療産業も、こうした阪神地区沿岸部「総合特区」の一翼を担うものとして 強化発展されていく…。 < 医療観光 > 先進的な医療の提供と温泉滞在などを組み合わせた「医療観光」の拡大をめざす案が取沙汰されています。 神戸医療観光は魅力的なコンテンツで、 ・神戸ポートアイランド(第2期)の先端医療都市見学。 ・国内外から来神した観光客向けの、最新医療機器による健康診断や専門家による健康アドバイス。 ・有馬温泉での温泉療養。 ・神戸市内観光名所めぐり、日本製家電やひょうご・神戸特産品などのショッピング。 このような新しい内容を盛り込んだ観光資源として、期待されています。 この医療観光(海外向け)をプロデュースするためには、 ・どの国のどの階層を対象とするのかの区別性に配慮した各種旅行プランの作成。 ・観光客の文化を理解したり、語学の習得をおこなったり、現地人スタッフを雇用したり…、 受け入れ関係諸機関(旅館など)の各種研修 などが必須です。 今後の課題としては、 ・基本的には日本食の提供で十分だけれど、 いろいろな国の人が抵抗なく食事がとれる格安な国際食堂街を、 観光バスターミナル等につくって、食の多様性を確保する。 ・海外からのアクセスが良くなるように、国際チャーター便が神戸空港に発着できるようにする。 < 最後にひとこと > 神戸は山が海に迫っていて、狭き土地柄であったために、内需拡大型の都市たりえず、 古くより、海外との交易に、その活路を見出すほかありませんでした。 日本もまた、世界の端にある小さな島国なので、内需拡大型国家たりえず、 海外との交易に、その活路を見出すほか道がありません。 神戸が今、直面している問題は、日本がその解決を迫られている問題でもあります。 国内に存在する小異を捨てて、国をあげて問題の解決に当たるのでなければ、 神戸の未来も、日本の未来も切り開かれていかない…、 そういうグローバル化の時代なのではないでしょうか。 2010年4月30日執筆 |