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| 2010年 秋 * | |
| 1 | 剣よりも 強きペンあり 今朝の秋 |
| 2 | 蜩の 朝な夕なに 鳴きにける |
| 3 | 蜩の 鳴きて夜が明け 日が暮るる |
| 4 | 君が名を 呼べば悲しよ 花桔梗 |
| 5 | 今年また 六日九日 敗戦忌 |
| 6 | 秋暑し 川面に浮かぶ 塵芥 |
| 7 | この星は 病みて候ふ 秋猛暑 |
| 8 | 廃れ家や 屋根の上にも 葛の花 |
| 9 | 去る人も 袖振るひとも 霧の中 |
| 10 | 一粒の 葡萄に伸ぶる 白き指 |
| 11 | 白指(しらゆび)に 攫はれゆきし 葡萄かな |
| 12 | 花芙蓉 人は優しき 心持つ |
| 13 | 君が手の 添ふがおかしき 萩の花 |
| 14 | 天高し 仰ぎて己が 拙を知る |
| 15 | 澄み渡る 空の色にぞ 秋気満つ |
| 16 | 山は暮れ 野は暮れ残る 里の秋 |
| 17 | 今はなき 離宮傘亭 須磨無月 |
| 18 | 月照れば さらにぞ訪はむ 須磨の森 |
| 19 | 枕辺も 遠き草野も 虫時雨 |
| 20 | 二重奏 三四重奏 虫の秋 |
| 21 | 六甲の 広きみ空に 鰯雲 |
| 22 | いづこにも 影持たざれば 秋の雲 |
| 23 | 秋雲の 陰影淡き 夕焼かな |
| 24 | 秋夕焼 空の果まで 淋しらに |
| 25 | いにしへに 思ひはせたる 十三夜 |
| 26 | 秋好日 掘り出し市の 賑へる |
| 27 | 鯊を釣る 潮目の変る 昼下り |
| 28 | 秋深し 空青くして 雲白し |
| 29 | 満ち足りて そこはかとなき 秋思かな |
| 30 | 蓮の実や 晴れのち曇り 風立ちぬ |
| 31 | 子に託す 思いは強し 蓮の実飛ぶ |
| 32 | 蓮の実の 後は枯れゆく のみにして |
| 33 | 蓮破る 敗兵去りし 跡のごと |
| 34 | 諍ひて 悲しみ深き 秋の暮 |
| 35 | 霧深し 君が涙を 拭はばや |
| 36 | 流星を 見たきと仰ぐ 雲晴間 |
| 37 | 銀漢や 幾億年を 瞬ける |
| 38 | 生き死には 星流るるが ごとくして |
| 39 | 銀河濃し 男女も同じ 闇を持つ |
| 40 | 天よりの 美禄なりしか 今年酒 |
| 41 | 長き夜や 芸極むるは 難くして |
| 42 | 林道の 深き轍に 木の実雨 |
| 43 | 醜( しこぐさ )草と けなされて実の 夥し |
| 44 | 古き果皮 破りて出でよ 檀の実 |
| 45 | くれなゐの 果皮を開きて 檀の実 |
| 46 | 手にとりて 捨つるに惜しき 紅葉かな |
| 47 | 風の音の あるかなきかに 暮の秋 |
| 48 | 行く秋や 人の流れに 身をゆだね |
| 2010年 冬 | |
| 1 | 美しき ものは良きなり 冬日落つ |
| 2 | 大安に 生まれ来し孫 小春の娘(こ) |
| 3 | 街小春 孫ふたり目を 賜りぬ |
| 4 | 神の留守 駄句なることも 許さるる |
| 5 | 日溜りに 眠る老犬 小六月 |
| 6 | 凩や スパッツの娘が 街を行く |
| 7 | 枯蟷螂 踏み拉かれて 道の端に |
| 8 | 胴塚の 晴れて首塚 初時雨 |
| 9 | 初時雨 夜戸出の君の 肩を抱く |
| 10 | ふるさとを 遠く捨て来て 冬の燈に |
| 11 | 月皓々 霜降る夜と なりにけり |
| 12 | 寒月下 獣のやうに 咆哮す |
| 13 | 歩をとめて 首を傾ぐる 師走かな |
| 14 | 寡黙なる ままでよきかと 懐手 |
| 15 | 日落つれば 即ち暗き 寒暮かな |
| 16 | 極月や 迷走ここに 極まれる |
| 17 | 厳しきを 耐えて皇帝 ダリアかな |
| 18 | 日当たりて 猩猩木の 造花めく |
| 19 | 和蝋燭 灯して祈る 聖夜かな |
| 20 | 底浅き 己が器量や 三冬月 |
| 21 | 空高く 飛ぶは美し 寒鴉 |
| 22 | 歳晩や ゴールの見えぬ 学び道 |
| 23 | 一歩また 一歩前進 年移る |
| 24 | 晴れ時々 曇りのち晴れ 年暮るる |
| 25 | 暦果つ 捨つるに惜しき ものもなく |
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