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      寒暁や 六千余名 死なしめき
      くづほれて 土に消えたる 霜柱  
      花びらの 萎れてなほも 冬の薔薇 
      さきがけて 春曙の 星となる
      波飛沫 かかるも嬉し 春の磯  
      天急破 海崩地裂 春の惨 
      この国の 終る夢見し 春の夜 
      悲しみの 深き淵より 春憂ふ
      行く春に 山河破れて 国いづこ
      夏燕 来たりて空を 翻す
      汝も我も 命短し 夜蝉鳴く
      海色に 染まずに行きし 白日傘
      水清く 山美しき 晩夏かな
       くうき みず うを こめ
      空気水 魚米汚染 夏果てり
      虚か実か 見定めがたき 秋となる
      秋澄むや 人の心は 濁りても 
      力なき 溜息ひとつ 冬に入る
      冬空に 乱雲一朶 波高し
      夢覚めて たつた独りの 真夜の冬
      余りにも 長かりし年 暮れんとす
         2011年 冬
  1  幸運に あやかりなばと 初詣
  2  たかが俳句 されど俳句か 老の春
  3  老の春 ジャズ聞くときは ジャズに酔ひ
  4  おらが春 今も反骨 平の兵 
  5  小さくも 見目麗しき 実千両
  6  万両や 体寄せ合ふ 屋根の下
  7  湯豆腐や 連れさへをれば 安けくて
  8  湯豆腐に 脾胃の整ふ 夕餉かな
  9  超ド級 ネットおたくの 去年今年
 10  小寒や 言葉軽ろきに 騙さるる
 11  策ありて 誠なければ 寒の街
 12  草の戸や 夜更けてよりの 隙間風
 13  着ぶくれて 頸をすぼめて 老いゆける
 14  悴みて 過ぎ来し日々を 思ひをり
 15  古寺に 放哉ひとり 咳ひとつ    於:須磨寺
 16  日向ぼこ 隣の人も 埴輪顔
 17  山を越え 海に落ちゆく 須磨の雪  於:須磨境川
 18  幾度も 外覗き見る 雪夜かな
 19  寒暁や 六千余名 死なしめき
 20  くづほれて 土に消えたる 霜柱
 21  おはやうと 勇みて言ふも 声寒し
 22  百年の 昔も今も 雪が降る   於:飛騨白川郷
 23  合掌の 茅葺屋根に 雪積もる   於:飛騨白川郷
 24  雪の夜や 昔話を 二つ三つ   於:飛騨白川郷
 25  冬ざれて 摂津瀧山 城が跡
 26  寒鴉 風の強きに 啼きもせで
 27  寒き日や 兵庫が沖の 潮騒ぐ
 28  海暗し 水鳥低く 群れ飛びて
 29  逆境に めげざる誉れ 冬薔薇
 30  花びらの 萎れてなほも 冬の薔薇
 31  日脚伸ぶ 橋が向ふに 播磨灘
 32  海峡の 暮れて西方 寒夕焼
 33  寒茜 どこか悲しき 色をして
 34  鵯の 群れ来る里や 春隣
 35  雲光る 六甲の春 遠からじ
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