鎮   魂  (二十句)                 *
                     
         
    星芒の かすみて月の 輝ける
                   
     月明に 鎮みて暗し 武庫の山                  
              
     流れきて 秋あけぼのの 雲となる
                    
     ななかまど 夕空すぐに 色褪せて
                 
     秋冷や 消えなんとして 明けの星        
               
     穏やかに 晴れて山里 冬に入る
        
     地震の街 西端に赤き 冬の月        
            
     凩や 更地の多き 地震の街
    
     枯尾花 月も欠けたる 仮設跡        
               
     くづほれて 土に消えたる 霜柱
    
     死なしめき 闇底深き 寒暁に
              
     鎮魂の 灯りよ神戸 ルミナリエ       
          
     兄の歳 越ゆる弟 寒の街       
                
     凍星や 声にならざる ものありて
    
     冬月や 命果てたる 朝まだき
            
     寒暁や 竹蝋燭 六千四百三十三              
                   
     内奥の 欠落神戸 震災忌
              
     雪地蔵 地震に逝く子も 遺る子も          
                
     雨降りて 顔より雪が解くる 雪地蔵
               
     山茶花の 咲くも散りしも 池の面に                      

    俳子の守破離俳句
       

   木霊(二十句)   戯画(二十句)   扇都(三十句)
   人籟(二十句)   緑陰(二十句)   死夢(二十句)
   鎮魂(二十句)   炎帝(二十句)   蛇惑(三十句)
   寧楽(三十句)
    
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