人   籟  (二十句)               *
                     
         
      年足れば 顔が履歴書 実万両
    
      寒三日月 朔太郎猫 目を病みて
                   
      啄木も 多喜二も小樽 冬運河
     
      義経の 進みし径も 枯野なる
     
      楊貴妃の まとふは重き 春衣
     
      行き暮れて 風強き丘 下萌ゆる  (種田山頭火)
    
      月朧 ひとり寝酒の 俳諧師  (尾崎放哉)
                  
      汚れちまった 中也の悲哀 辛夷散る
    
      桜咲く 俳子生涯 一書生
    
      清盛が 夢の都や 花朧
     
      飛花落花 西行庵は 戸を持たず
               
      孫文碑 あるも神戸や 風光る
            
      ガンジーの 高貴と悲哀 春逝けり
    
      涼なるや 秀吉愛でし 有馬水
     
      夏の花 静かに散れば 民喜の忌
       
      芭蕉子規 放哉俳子 須磨晩夏
              
      花に佳趣 実に雅趣ありて 式部なる
     
      長き夜に 荷風断腸 日記かな
          
      去年今年 魯迅先師を 敬し生く
      
      春隣 釈尊大悲を 思ふとき

    俳子の守破離俳句
       

   木霊(二十句)   戯画(二十句)   扇都(三十句)
   人籟(二十句)   緑陰(二十句)   死夢(二十句)
   鎮魂(二十句)   炎帝(二十句)   蛇惑(三十句)
   寧楽(三十句)
    
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