緑   陰  (二十句)                 *
                     
         
      雲高く 空透き通る 素秋かな 
     
      山人の 逍遥さびし 暮の秋
       
      年経れば 乾く悲しみ 芙蓉の実
                   
      木の葉散る 仮寓陋屋 俳子庵
              
      天虚より 冬晩鐘の 響きけり
     
      淑気満つ 流るる水も ゆく雲も
     
      冬晴や 一椀蔬菜 あれば足る
     
      ものなべて 仏の化身 風光る
                  
      花ありて 一菜百味 俳子庵
    
      よもすがら 降りつぐ雨に 桜蘂
     
      葉桜と なりて整ふ 庭の景
               
      余花一樹 老俳人の たなごころ
            
      若葉して 浣心亭の 障子紙
    
      息吸ふも 吐くもさみどり 新樹陰
     
      会へばまた 破顔一笑 五月空
       
      緑陰や 齊下丹田 息深し
              
      緑陰や 単坐無想の 刻ありて
     
      くつろぎて 侘茶一服 沙羅の花
          
      穢土暮れて 浄土輝く 夕焼かな
      
      太古より 風立つごとく 月涼し

    俳子の守破離俳句
       

   木霊(二十句)   戯画(二十句)   扇都(三十句)
   人籟(二十句)   緑陰(二十句)   死夢(二十句)
   鎮魂(二十句)   炎帝(二十句)   蛇惑(三十句)
   寧楽(三十句)
    
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