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    2021年 新年・冬 ( 7 )   *  
 暁光の 曲りて抜くる 氷柱かな
 軒氷柱 曲りて届く 朝の日矢
 朝日さす 切つ先冴えて 軒氷柱
 手前にも 横にも増えり 崖氷柱
 野仏の 鼻水のごと 氷柱垂る
 したたりつ 凍りつ軒の 氷柱なす
 時折は 氷柱しづくの 軒が下
 少しづつ 違ふしづく音 軒氷柱
 しづく音や 氷柱はいつも 不揃ひで
 てのひらに 氷柱しづくの 二三滴
 氷柱撫づ 指に温みの あるかぎり
 月影の 細れば太る 草氷柱
 細りゆく 森の泪か 草氷柱
 草氷柱 夢のやうなる 娼婦論
 幻獣の 牙はかくやも 滝氷柱
 桃色に 樹氷かがよふ 朝まだき
 死に顔を ほめて凍てつく 通夜のひと
 鍔迫りの 血潮の滝の 凍りけり
     『近江源氏先陣館―盛綱陣屋―』より
 行き倒れ マンモスのごと 滝氷る
 凍滝や 巌に白き 髭のごと
 氷瀑や 閉じ込められし 音聞こゆ 有馬 七曲滝
 凍蝶は動かず 薄き日に痴れて
 凍蝶の 破れし翅を 風が刺す
 羽凍てし 蝶はいづこに 休むやら
 強霜の ケージの鶏の 湯気卵
 ゴミ袋 破りてあさる 寒鴉
 野の果ての そのまた果ての 寒鴉
 身を隠す 茂みもなくて 寒鴉
 鴉啼く 寒の刺客の 影宿し
 寒鴉 鳴けば影飛ぶ 無縁墓地
 だみ声を 残して逃げぬ 寒鴉
 本堂に 迷ひこみたる 寒雀
 寒雀 はねてぞ潜る 赤鳥居
 寒鶯や 歌思ひても 声出でず

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