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      2021年 夏 ( 20 )   *  
 蟻地獄 奈落へ落つる 黒き影
 もがくほど ずり落つ流砂 蟻地獄
 蟻地獄 底ひに待てば 餌の果報
 蟻地獄 見ざるべきもの 見てしまふ
 蟻地獄 どかか似てゐる 恋地獄
 玉虫の おのが光の 磁場を出ず
 玉虫の 超合金の 武者鎧
 いふなれば 空飛ぶ戦車 兜虫
 傷つきて 傷つけもして 兜虫
 かみきり虫 ゴッホの耳を 削ぎに来る
 不揃ひの 地蔵が列に 道をしへ
 ひたすらに 逃げてつれなし 道をしへ
 蜜まみれ 花粉まみれぞ 黄金虫
 転がせば 死に真似うまき 黄金虫
 金亀子 電子回路に 迷ひこむ
 穀象や 親八十に 子は五十
 糞ころがし踏むや 桃色ハイヒール
 ゴミあさる 団子虫にも 虫が魂 団子虫を季語扱い
 団子虫 窮さばすぐに 虫団子
 猫の蚤 ぷちりと潰す 爪の甲
 器用かつ貧乏 螻蛄ぞ泣き笑ふ
 カフカ読む 我も毒虫 赤蜈蚣
 百足虫這ふ 百のすり脚 音もなく
 ダダダダダ 駄駝駄駝駄駝駄 百足虫逃ぐ
 叩かれて のたうちまはる 百足虫かな
 げじ叩く もげし脚なほ 動き這ふ
 ごきぶりや 老いがひとりの ゴミ屋敷
 御器嚙り 夫婦茶碗に 糞たれて
 ごきぶりの ゆくは物陰 裏の道
 世にこびず 世に容れられず 御器嚙り
 ごきぶりは 隙間に生きて 死すのみぞ

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