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       2021年 夏 ( 24 )   * 
 921  褐色に 夕日の透けて 蝉の殻
 922  空蝉の 背に殻抜けの 裂け目跡
 923  空蝉や 生家屋敷に 人住まず
 924  空蝉に すがりつくかに 蝉の殻
 925  木に揺れて 風に透けゆく 蝉の殻
 926  たましひの まだ残るかに 蝉の殻
 927  夕暮れて 空蝉なほも 木を掴む
 928  空蝉のそびら 淋しき風立ちぬ
 929  蝉むくろ 半角文字の 行列に
 930  笹舟に 蟻一匹の 大航海
 931  黒蟻が 真中を通る 須磨の関
 932  蟻走る 日向日蔭を 選ばずに
 933  兵隊蟻や 軍隊蟻を 迎へ撃つ
 934  覗きこむ われはガリバー 蟻走る
 935  しんがりと 見えし後にも 蟻の列
 936  蟻の列 コンフォーミストが ぞろぞろと
 937  女王と 命を共の 蟻家族
 938  蟻地獄 奈落へ落つる 黒き影
 939  もがくほど ずり落つ流砂 蟻地獄
 940  蟻地獄 底ひに待てば 餌の果報
 941  蟻地獄 見ざるべきもの 見てしまふ
 942  蟻地獄 砂の女と 恋地獄
 943  蟻地獄 どかか似てゐる 恋地獄
 944  玉虫の おのが光の 磁場を出ず
 945  玉虫の 超合金の 武者鎧
 946  いふなれば 空飛ぶ戦車 兜虫
 947  兜虫相撲 小よく大を投げ
 948  傷つきて 傷つけもして 兜虫
 949  かみきり虫 ゴッホの耳を 削ぎに来る
 950  不揃ひの 地蔵が列に 道をしへ
 951  ひたすらに 逃げてつれなし 道をしへ
 952  蜜まみれ 花粉まみれぞ 黄金虫
 953  転がせば 死に真似うまき 黄金虫
 954  金亀子 電子回路に 迷ひこむ
 955  穀象や 親八十に 子は五十
 956  糞ころがし踏むや 桃色ハイヒール
 957  ゴミあさる 団子虫にも 虫が魂 団子虫を季語扱い
 958  団子虫 窮さばすぐに 虫団子
 959  猫の蚤 ぷちりと潰す 爪の甲
 960  器用かつ貧乏 螻蛄ぞ泣き笑ふ

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