一位の実
 
        
    木の実ゴム銃
 
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       2021年 秋 ( 16 )   *  
 601  血となれ 肉となれとや 石榴食ぶ
 602  口裂けて 魔女は石榴の 実をこぼす
 603  空爆や 木端微塵の 石榴の実
 604  実ざくろの 一粒ごとの エゴイズム
 605  哲学を語り 野葡萄噛みくだく
 606  政治を語り 野葡萄呑みこみぬ
 607  文学を語り 野葡萄吐き散らす
 608  野葡萄の 高きはさぞや 酸いからむ
 609  純なほど 赤く透けたる 一位の実
 610  林檎もぐ 白き喉元 見せもして
 611  目覚むれば 顔が林檎や マグリット
      ルネ・マグリット画 『人の子』
 612  林檎切る 半球笑むが ごと開く
 613  見た目より 病んで痛んで 熟れ林檎
 614  倦みし世や 芯より腐る 傷林檎
 615  飯桐の 赤き実ほどの 人なさけ
 616  実はまろし からたちの棘 入り乱れ
 617  樫の実や 森は今年も 豊かにて
 618  青どんぐり ちょつきり虫が 穴あける
 619  足音に 驚きをるかに 木の実落つ
 620  木の実降る 大地をたたく 音確か
 621  どんぐりに 落しどころと いふがあり
 622  指先に どんぐり帽子 ふたつみつ
 623  どんぐりの もじゃもじゃ帽子 風に飛ぶ
 624  椎の実の 多きなかより ひとつ採る
 625  椎の実を拾ふ ポケット一杯に
 626  六甲の 七坂八道 木の実落つ
 627  木の実落つ 音に崩るる 座頭谷 蓬莱峡
 628  右側に 捩れつ廻る 木の実独楽
 629  森の音 するやもしれず 木の実独楽
 630  ゴム銃や 的得て撥ぬる 木の実弾
 631  敵襲や どんぐり弾を あびて死す
 632  鬼惑ふ 椎の実山の かくれんぼ
 633  父役の ゐないまま事 どんぐり飯
 634  皮剥きの 橡の実ひたす 灰汁に
 635  橡の実を 水にさらすも 十日かな
 636  実を搗きて 蒸して香をあぐ 橡団子
 637  柿みのる 静かな里や 晴れわたる
 638  主なき 屋敷が庭や 柿熟るる
 639  竿あげて 空の余白の 柿をもぐ
 640  歯の立たぬ 強渋柿や 先尖る

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