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      2021年 秋 ( 7 )   *
 李白行く 月半輪の 峨眉山
 小望月 あすは良きこと あるやうな
 山塊の 影深まりて 月を吐く
 母が上に 潮満ちをれば 月出づる
 月出でて 小磯の舟が 漕ぎ出づる
 北斎の 波があげたる 今日の月
 夜の景の 数々あれど 今日の月
 月出でて 大仏さまの 大頭
 月掬ふ ことは易しと 池の端に
 天心の月を 湯池が水の上に
 盃に しばし遊ばせ 月を呑む
 満月に 裏の顔あり あばた面
 名月も 惜しき限りの あばた面
 遠ければ あばたも美しき 望月に
 名月も をみなも持てり 裏の顔
 引窓に 月の明かりや 長五郎
     『双蝶々曲輪日記』より
 連れびとの 思ひは知れず 月に雲
 古民家の 軒もる月や 影揺るる
 月揺るる 水面こはるる 人の影
 月の座の 影見てわかる 俳諧師
 月影や 下は神戸の 街灯り
 月遠し うつし世いつも ままならず
 ふりむけば 月もさすがの 須磨の関
 野の月や さへぎるものは 何もなく
 須磨の辺や ただひとりして 月ぞ見む
 月白し 卑弥呼はどこの 女王か
 月白し ひとり降りるたつ 無人駅
 姥捨の 無人駅にや 月の客
 賤が家も ひと夜をかけて 月めぐる
 駱駝行く シルクロードの 月明り
        平山郁夫 画 「月光パルミラ遺跡」
 月渡る 還らぬひとは かの国に
 月渡るや 天動説を 信じさう
 芋名月 指も驚く 器量よし
 無月の夜 くるくる廻す 月球儀
 雲厚し ほんに今夜は 十五夜か
 足音で 君と知れたる 十六夜
 十六夜の 遊女惚れてや 稲瀬川
     『花街模様薊色縫~十六夜清心』より
 いざよひの 月にさらせり 京みやび
 のつと出て 山端離るる 十七夜
 立待や 外出の身にも 湯の名残
 良夜発 幸福行きの 夢切符

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