霜
 
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       2021年 冬 ( 6 )   *  
 201  韋駄天や 癖毛はみだす 冬帽子
 202  影と来て 黙して去りぬ 冬帽子
 203  人混みに まぎれて去りぬ 冬帽子
 204  セーターや 膨らむべきは 膨らみて
 205  セーターの 膨らむ方に 日が当たり
 206  セーターや 心のいびつ 隠しくれ
 207  変身は いとも簡単 セーター脱ぐ
 208  セーター脱ぐ ピチパチパチと 静電気
 209  蒲団干す 寝相悪きを さらすかに
 210  帰るなり 風呂めし蒲団 高いびき
 211  蒲団より 手が出て闇を 掻きむしる
 212  冬霧を 抜けてステルス 戦闘機
 213  十二月 八日こぞりて 戦争へ
 214  開戦日 進軍ラツパ 勇ましく
 215  反対の ひと皆無にて 開戦日
 216  おもしろく やがて悲しき 開戦日
 217  開戦日 人皮の焦ぐる 臭ひして
 218  開戦日よりや 亡者の長き列
 219  冬凪ぎて 平家滅びし 波の音 大輪田泊
 220  宋船の 寄らで過ぎゆく 冬泊り
 221  冬の燈や こころに遠き 痛みもち 神戸ルミナリエ
 222  さやうなら 死者にも分かつ 冬燈
 223  小夜更けて 冬の燈ひとつ 隅照らす
 224  闇に向く 燈火ひとつ 帰路寒し
 225  冬の灯の 等間隔の 直線路
 226  冬の灯の どれも小さく 青白く
 227  母やさし 帰れば冬の 燈が灯る
 228  冬の燈や ここに生きとし 生けるもの
 229  淀川や 川より低き 冬燈
 230  錨泊の 船にくきやか 師走の灯
 231  立喰ひの 客にぶつかる 師走かな 神戸南京町
 232  初氷 朝日にひかる 田の窪み
 233  掻掘の 池荒寥と 初氷 森林植物園・長谷池
 234  初氷 手水舎の水 透き通る
 235  赤き実の 綺羅を封じて 初氷
 236  霜降るや 星の雫を 凍らせて
 237  満天に 星座組まるる 霜の夜
 238  遠吠えや 月が星消す 霜の夜
 239  笹の葉の 平らに霜の 花盛
 240  霜枯れて 死にゆくものの プログラム

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