2022年 夏 ( 9 ) * |
あめんぼは 水を磨きて 空磨く |
水上の ブレイクダンス 水馬 |
雨の輪に 水の輪足して あめんぼう |
あめんぼの 水輪くづして 池の端まで |
六月や 鏡の奥に 狂気秘め |
水無月や 空まで水の 匂ひ満つ |
梅雨の川 岩越す水の 音溢れ |
水の上を 水が越えゆく 梅雨の川 |
梅雨の朝 傘に押されて 会社まで |
梅雨の傘 しづく切りても 切りきれず |
雨垂れの 一滴ごとに 梅雨の音 |
軒しづく 口あけて泣く 梅雨の夜 |
悲しみの 数ほど増えて 梅雨きのこ |
死するかに 葉裏に眠る 梅雨の蝶 |
茅の輪抜け 穢れなき身を 抜けきれず |
That's enough! 雨が筋なす 梅雨半ば |
梅雨晴間 行く手をはばむ 岩襖 芦屋ロックガーデン |
梅雨湿る けふもあしたも あさつても |
ワイパーが 見開く街や 梅雨の夜 |
音なすは 雨垂ればかり 梅雨深し |
梅雨深し 智慧の道ゆく 女傘 須磨寺 |
振り向けば 振り向きてをり 梅雨の傘 |
海風の 塩気濃密 梅雨明けぬ |
梅雨明や 天辺も咲く 立葵 |
立葵 齢に負けし 背を正す |
花びらに 釈迦を寝かせて 未敷蓮華 |
全開の 蓮の花びら 十六枚 |
白蓮の 玉座にほとけ 葉に蛙 |
若くして 戦死せしとや 蓮の花 若くして戦死するのを「散華」といって美化した時代がありました。 散華とは、もともとは仏を供養するために華を散布することで、 蓮の花を撒き散らして清め、仏を迎えるためのものでした。 |
蓮の葉や 銀の雨つぶ 落ちもせで |
梅雨明けて 終の世に置く 忘れ傘 |
雨明けて うだりぐだりの 永き夏 |
孤を描く 水平線や 明易し |
咲けば散り やがて疎になる 凌霄花 |
虎尾草は踏みても 虎の尾は踏まず |
咲けば散り やがて疎になる 凌霄花 |
夏木立 真すぐに伸びて 幹太し 森林植物園・シアトルの森 |
君も吾も 影を持たずや 夏木立 |
ひんやりと 乾きし風や 夏木立 |
夏木立 人の集へば 風なごむ |
水中の 花のなきがら 開き咲く |
瓶なかの 虚ろを埋めて 水中花 |
瓶筒に 溺死せしより 水中花 |
覗く目を 覗き入りたる 出目金魚 |
鉢なかを 遅れて廻る 金魚の尾 |
小言にも ひらひらひらの 金魚鰭 |
日の当たる 窓際そばの 金魚玉 |
灯を消して 金魚と同じ 闇に棲む |
金魚鉢 いつもひとりの ワンルーム |
寝不足の金魚や とろき 泡もらす |
弔ひや 金魚をゴミの ごとつまみ |
夕暮れて ぎょろり目高の 目玉かな |
泳ぐのは 目高の目玉 十余り |
水替へて 精気失せたる 目高かな |
緋目高の死して 空しきひと夜の喪 |
ここが好き 目高が群るる 里の川 |
目高失す 水嵩ふえし 用水路 |
うきくさに 根のある不思議 ただよひね |
掘り出して 剥けば剥くほど 百合の皮 |
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