蛙 (2)   *

          春…白き腹 見せては跳べり 昼蛙
           小悪魔の つぶやきに似て夕蛙

           森深く 水の清きに 赤蛙
           幅跳びの 名手や日本 赤蛙

           白光る 水の裏より 蛙の目
           愛らしや 反り目蛙の 喉仏

           蛙鳴く 沼の水銹に 顔出して
           水痩せの 沼の蛙や 声低し

           赤子泣く 声にあはせて 蛙鳴く
           蛙鳴く 月夜の沼の 水光る

           鳥影や 浮き寝蛙の 逃げ迅し
           浮き蛙 失せて目玉の 残りけり

           しまひこし 臍の緒さがす 目借時
           人は尾を 蛙は臍を 持たざりき

           蛙には 尾柱人には 尾てい骨
           臍隠せ 痩せ蛙には なるまいぞ

           立尿の 放物線下 かはづ鳴く
           手をついて 蛙二匹の 睨みあひ

           鳥獣戯画 二足の蛙 前を見ず
           蛙反る 御尤もとは 思へども

           先生と もてはやされて 井の蛙
           門前の小僧 蛙の声を読む

           わびる気の なくて蛙の 土下座かな
           へそ曲り 爺にへそなし 蛙かな

           鳴きごゑの どこか間遠き 昼蛙
           夕蛙 ひねもす鳴きて 飽きもせず

           蛙より 賢さうなる 蛙の子
           遠蛙 家で赤子が 泣いてゐる

           蛇出でて あはれ蛙の 頬冠り
           蛇出でて ぴんぴんころり 擬死蛙
           吞まれゆく蛙や 脚もばたつかず

           死は白し かはづ仰向け 大の字寝
           古池に ふやけて白し 死に蛙    俳子

              ニホンアカガエル

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