夜   桜  *

         春…夜桜や 慢ずるほどの 恋持たず
           夜桜や 呼びて応ふる 連れもなく

           酔ひどれの 夜目にも近き 桜かな
           夜桜の 遠きは星の 屑めきて

           夜桜や そばに明るき 燈ひとつ
           池の面の 逆さ夜桜 風の紋

           夜桜に まじる古木に 花はなく
           浮かれ来て 夜風冷たき 桜かな

           花冷に萎えてや 俄か篝守
           花篝り 届かぬ先の 闇騒

           夜桜を 愛でるふりして 君が肩
           湯名残か 恋のほてりか 夜の桜

           極上の 花見疲れに 湯くたびれ
           三味の音も 酒も過ぎたり 真夜桜

           闇あれば 間近にせまる 花の息
           夜桜の 花より闇の 息づける

           夜桜に 死者のやすらふ 小暗がり
           夜桜や 縁なきひとと すれ違ふ

           灯を消せば 闇夜に沈む 桜花
           ほの白く 妖気ただよふ 花の闇

           夜桜の 闇の奥より 女夜叉の眼
           花の闇 怨霊の目の 底光る

           闇入れて 妖気ふくらむ 桜花
           夜桜や 闇にざわめき 秘めもして

           夜桜に 滅びの匂ひ 死の香り
           夜桜や 根に怨霊の 胎児抱き

           夜桜の 後ろの闇の 底深く
           桜闇 悪霊どもが 蠢きて

           夜桜を いのち死にゆく ひとと愛づ
           夜桜や 心狂はば 夜叉となる

           今生のさくら 前世のさくら闇
           影白き 祖霊の集ふ 桜闇

           夜桜を歩きて 人の外に出づる    俳子


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