蟻 * 夏…覗きこむ わが鼻先や 蟻走る 蟻走る 日向日蔭を 選ばずに 蟻走る 日差し強きに 影もたず 覗きこむ われはガリバー 蟻走る 棘蟻の 出合ひがしらの 蜜渡し 蟻の列 まなかを通る 翅かけら 亡骸の 軽ろきを重く 蟻が曳く 亡骸に 群れて忙しや 網目蟻 葬列と いふには忙し 蟻の列 死なざれば 運ばれざるに 蟻の列 蟻の列 いもむしゃくじら 攫ひゆく 蟻の列 蝶蛾の羽根は 運ばざる 列乱す 蟻ゐて巣へと 列をなす 乱れても すぐに整ふ 蟻の列 蟻穴に 発する列の 延々と 蟻の列 コンフォーミストが ぞろぞろと しんがりの 蟻かと見えて 列半ば 似たやうな 蟻がぞろぞろ 列をなす 行くもあり 帰るもありて 蟻の列 先頭も しんがりもなき 蟻の列 蟻の道 地球の端より 続くかに 這へば餌 運べば蟻の 巣穴かな 地の底の 暗きにうがつ 蟻の穴 兵隊蟻や 軍隊蟻を 迎へ撃つ 幾重にも 地下に層なす 蟻が城 女王と 命を共の 蟻家族 地の底に 女系一筋 蟻家族 藪深き 獣道にも 山の蟻 蟻殿も 右往左往の 昼下がり 山蟻の 身細くして 列なさず 山蟻に 御握り残す 五六粒 餌を曳きつ 大師堂へと 蟻の列 (再度山 大龍寺) 空海の 座せし岩やも 蟻登る どの道を 登りきたるか 摩耶の蟻 (摩耶山) 黒蟻が 真中を通る 須磨の関 (関守稲荷神社) 道それて 関所破りの 蟻走る 落ちゆくか 西国道を 蟻ひとつ 見返りの 坂を真直ぐに 蟻の列 蟻忙し 行きつ戻りつ 曲りつつ 一匹の 蟻に地を這ふ 影ひとつ 蟻もまた 乱世を生くる ともがらか 列をなす 蟻が十匹 ありがたう 蟻の道 たどらば飢餓の なき国へ ひとつとせ 人は通さぬ 蟻の道 蟻んこを 大きな足が 踏みにじる 地を這へる 蟻の高さで 見る景色 笹舟に 蟻一匹の 大航海 我思ふ ゆゑに迷へり 蟻の道 億年の 琥珀が中や 蟻眠る 夜の蟻 一億トンの 闇背負ふ 俳子 |
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