*

         春…春の蚊の 翅も体も うすみどり
           春蚊なら まだ許せると 仏顔
           春の蚊の 動き嫋やか 放免す

         夏…初夏の蚊の 寄れども刺さず 漂ひぬ

           Love begets love そして孑孑 わき出づる
           孑孑の水や 濁りて甘きやも

           孑孑や 手桶にたまる 古き水
           孑孑や 水面の裏に 座するかに

           孑孑の 浮上逆転 アクロバット
           孑孑の 棒振りダンス ダンスかな
           くの字とも への字とも見え 棒振虫

           孑孑や 末は赤龍に なるといふ
           そのほかの 仔細は知らず 棒振虫

           白班の 薮蚊出で来る 無縁塚 (於:源平合戦戦歿者供養塔)
           蚊の声や 平家亡者が 恨み声

           放哉の 蚊が刺すふぐり 赤腫れに
           寺に棲む蚊や 御仏の心持つ

           蚊の声や 手で払おうか 逃げやうか
           藪蚊来る 痩せたるひとの 声避けて

           藪蚊来る 膝を打ちても 策はなし
           博愛の 我に隙あり 薮蚊刺す

           血を吸ひて 生きむとすなる 藪蚊かな
           家の蚊や わが血分ければ 兄弟に

           人の目を はばかる逢瀬 藪蚊刺す
           色黒の 藪蚊吐きだす 阿像かな

           憎らしや わが血を吸ひて 蚊ぞ太る
           蚊を打つや 虫も殺さぬ 顔をして

           蚊の声や 殺意封ずる ことできず
           殺さざるを 戒め生蚊 打ち殺す (「不殺生戒」を誤読して…)

           打つ音に みごと圧死の 藪蚊かな
           蚊を打てば 手に血糊の 穢れかな
           叩かれて わが血溜まりに 死す蚊かな

           それそれや 人に七癖 蚊に八癖
           寒山を避け 拾得に蚊の集ふ

           人の香にさとし 藪蚊の二三匹
           あぶれ蚊や 我に寄り来る ほかはなく

           蚊を打つも 蚊に喰はるるも ひとりの夜
           生くべき蚊 死すべき蚊みな 蚊なる蚊も    俳子


    前頁(蠅取草)へ  この頁のTOPへ  次頁(ががんぼ)
         「蚊」関連ページ…秋の蚊(秋)
  575 俳子ワールド
 俳子の俳句横丁
 俳子のインターネット歳時記
        INDEX版
 神戸観光名所歳時記
 須磨・句碑めぐりの旅
 俳子の守破離俳句
 俳子の独断状
   ホームへ

 俳子のインターネット歳時記 夏


 俳子のインターネット歳時記 写俳版