蝉 ( 1 )   *

         春…木に寄りて 木より離れず 春の蝉
           松蝉や 近く鳴きても 声遠き

           松蝉の つたなき声を 遠く聞き
           森匂ふ 春蝉遠く 細く鳴き

           松蝉の いづこか遠く 二三匹
           松蝉の 途切れとぎれの 遠き声

           松蝉の 鳴き止むせつな 風止まる

         夏…雨待ちて 樹皮の隙間を 孵化の蝉
           幹つたふ 雨の迅きに 蝉幼虫

           雨しとど 蝉幼虫は 地をめざす
           地の底の 根の先々の 蝉幼虫

           根より吸ふ 樹液うましか 蝉幼虫
           小さくも すでに羽もつ 蝉蛹

           森の闇 深みて蝉の 羽化まぢか
           もういいよ 蝉さん早く 出ておいで

           蝉出づる 土の産道 こじあけて
           穴ばかり 覗く幼ナや 蝉は木に

           羽化できぬ蝉や 地闇を出で来しに
           脱皮せよ 蝉が古殻 脱ぐやうに
           薄翅を 伸ばして終る 蝉の羽化

           羽化蝉の 朝日に透くる うすみどり
           土闇を 出でてみ空へ 蝉生まる

           天つ日に 恋ひ焦がれてや 蝉生まる
           蝉声や まだ薄暗き 明けしじま


           初蝉や 長雨開けを 告ぐるかに
           雨季明けの 樹液濃厚 蝉出づる

           初蝉の 小ぶりなりしを いとほしむ
           初蝉や 羽に朝日の 透くるほど
           初蝉の 羽透き通る 朝かな

           蝉殻の 緑に染まる 朝まだき
           初蝉の 木の葉隠れに 鳴きにける

           木隠れや にいにい蝉は 忍者蝉
           高鳴きや 熊蝉腹を ふるはせて    俳子

             ニイニイゼミ(左が雄、右が雌)

                 アブラゼミ

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