蝉 ( 2 )   *

         夏…暁や 鳥に遅るる 蝉の声
           蝉鳴きて 夢尻消ゆる 朝目覚め

           一日の 音の初めぞ 蝉しぐれ
           目覚むれば 部屋の中まで 蝉しぐれ

           降るやうに また湧くやうに 蝉しぐれ
           朝床に 聞けばうるさき 蝉の声

           森木立 あれば朝より 蝉しぐれ
           一木に 五六はゐるか 蝉しぐれ
           百年樹 七年蝉を 育てては

           鳥の声 消え失すほどや 蝉の声
           葉の多き 小枝の蝉や 声高し

           蝉鳴くや 木々の高きに 身を隠し
           蝉は木に 木は蝉声の 渦なかに

           飛びとびの木々 切れ目なき蝉の声
           日がな一日 切れ目なき蝉しぐれ

           天空を 聾するほどの 蝉しぐれ (神戸栄光教会)
           蝉しぐれ 大聖堂の揺らぐかに

           蝉しぐれ 崩れて溶くる 角砂糖
           蝉しぐれ 光も風も 飴色に

           耳底に はりつき鎮む 蝉のこゑ
           耳鳴りの 奥へと沈む 蝉のこゑ

           鳴きつぎて 脳にすみつく 蝉のこゑ
           閑さや 脳にしみ入る 蝉の声

           山里の 音遠ざけて 蝉のこゑ
           うたたねの 夢のつづきの 蝉のこゑ

           鳴きつげど 耳より消ゆる 蝉のこゑ
           昼深し 耳鳴りと化す 蝉のこゑ

           鳴きやみて 耳奥に残る 蝉しぐれ
           蝉しぐれ 近きの止めば 遠きより

           切々と 人恋ひをれば 蝉しぐれ
           蝉しぐれ 地の果までも 淋しとき

           山里の 雨降りやめば 蝉しぐれ
           一木の蝉 全山の蝉しぐれ

           ひもろぎと なりし一画 蝉しぐれ
           蝉鳴きて 杜の大樹を 揺らしけり

           山寺や 日がな一日 蝉の声
           山寺を 領して倦かず 蝉の声
           深山蝉 鳴けば空まで うそ哀し

           守り子唄 うらの松山 蝉が鳴く
           蝉しぐれ 山をまるごと 震はせて

           黙祷や うるさきほどの 蝉しぐれ
           蝉しぐれ 送る言葉が 胸をさす

           Widow's Weeds 耳の中まで 蝉しぐれ
           わが死後も かくも静かか 蝉しぐれ

           墓山の 地鳴り空鳴り 蝉のこゑ
           誰泣くや 墓地に紛るる 蝉ぞ鳴く

           鳴く蝉の 音を加へて 墓静か
           石古りて 外人墓地の 蝉しぐれ

           真実の 言の葉欲れば 夜蝉鳴く
           みんみんは 何も見ざると いうて鳴く

           諍ひの あとの淋しさ 蝉しぐれ
           樹液吸ふ 木の色に蝉 そまるまで    俳子

                 クマゼミ


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