若   葉 ( 1 )  *

          夏…萌えいづる 若葉が音か 瀬の音か (生田川上流)
            新たなる 若葉一葉 ほぐれそむ

            山に呼気 木々には吸気 若葉萌ゆ
            若葉萌ゆ 新梢出でて 樹はなやぐ

            山水に 径あり若葉 萌えいづる (地蔵谷)
            木は森に 森は若葉の 山となる

            六甲は 萌黄浅黄の 初若葉
            坊主山 なりしは昔 若葉萌ゆ

            若葉萌ゆ 山騒々と 寂々と
            水音に 和すかに揺れて 谿若葉

            朝日さす 若葉しづくの うすみどり
            若葉して 空に透けたる うすみどり

            山風に 揺るる木漏れ日 谷若葉
            谷深し 若葉透かしの 空黄色

            トンネルの 出口の明かり 山若葉
            浅緑 深緑して 山若葉

            山若葉 等高線を 攻め上る
            山若葉 送電塔を 押し上げて

            山若葉 遠近法を はみだして
            若葉して ふくらみそめし 四方の山

            飛ぶ鳥の 影まで青き 山若葉
            神水や 若葉明かりに 賜りし
            谿若葉 こゑを発さば 谿こだま

            遠来の 雨細やかに 若葉山
            天つ水 うけて膨らむ 山若葉

            道絶えて 若葉いきれの 森の奥
            六甲を 埋みつくして 山若葉

            遠来の 雨細やかに 若葉山
            山若葉 雨も明るく 降ることよ

            吸ふは爽 吐くは快なり 若葉風
            山若葉 いつもどこかに 風の音

            若葉風 山の余白に 町を置き
            町若葉 戸毎に違ふ 色甍

            息吐けば 青葉若葉の 風となる
            一山の 青葉若葉を ひとり占め
            六甲の 青葉若葉に 町埋む

            若葉風 決着つかぬ へぼ将棋
            碁敵の うなる一手や 青葉風

            窓若葉 途切れとぎれの トイピアノ
            頬杖を 解かざるままに 窓若葉

            くすぐれば 笑ふややこや 窓若葉
            笑ひても 泣きても嬰児 窓若葉

            庭若葉 君にぞ開く 窓がある
            窓若葉 重なりあふて 透く緑

            新緑の 窓辺に寄りて ハーブティ    俳子

                再度山(再度公園)

                神戸市立森林植物園

             六甲縦走路(菊水山南面)

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