秋 の 雲  *

         秋…流れきて 秋あけぼのの 雲となる
           秋風に 流るる雲の ふたつみつ

           手枕や いつもひとりの 秋の雲
           山やさし 秋風雲を 乱さざる

           六甲の 大尾根小尾根 鰯雲
           羊啼く 空に鯖雲 羊雲

           高天に 風の筆なす 秋の雲
           秋天や ひと刷毛の雲 現れて消え

           秋雲の うろこどこまで 故山まで
           秋の空 雲を数へて 切りもなし

           砂丘には砂紋 空には鰯雲
           鰯雲 ひとつ離れて 細き雲

           空に聞け どこまで続く 鰯雲
           鰯雲 消えゆくまでの 長き時

           大海に小波 空には鰯雲
           空深く 泳げや泳げ 鰯雲

           天網を うちて大漁 鰯雲
           天網に掬はば 多き鰯雲

           釣糸を 垂れて久しや 鰯雲
           魚籠底の 鱗数片 鱗雲

           天空に 釣糸たれて 鰯雲
           鯖雲や 釣れ数さばを 読むべきか

           鰯雲 小魚一尾の けふの幸
           秋雲や 今日の釣果を 問ふなかれ

           秋雲や 快音残す 大飛球
           逆上がり できた日の空 鰯雲

           天空に 消えゆく機影 秋の雲
           どこまでも 一の字の雲 秋澄めり

           一の字や しの字を引きて 秋の雲
           秋風や 飛行機雲の 崩れそむ

           虚空へと 末広がりの 鰯雲
           鰯雲 呑みこむ巨魚の あばら骨

           天穹に そひて彎曲 鰯雲
           鰯雲 空の限りを 埋めつくし


           漂ひて 移ろひやすき 秋の雲
           雲高く 空透き通る 素秋かな

           秋雲の 重なりあふも 層なさず
           秋の雲 高きは高く より高く

           ひんがしへ 流れ流れて 秋の雲
           ひとり野を 来たりて秋の 雲とあり

           いづこにも 影もたざれば 秋の雲
           秋雲の 陰影淡き 夕焼かな   俳子





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