秋  の  蝉  *

           秋…法師蝉 無住寺への 細き道
             無住寺の 庭を鳴き澄む 法師蝉

             鳴くこゑに 酔ひて鳴くなり 法師蝉
             法師蝉 間近に鳴けば 音浄土

             群れては鳴かず 独唱の 法師蝉
             高く鳴き 低く逃げゆく 法師蝉
             わが影に 驚き逃ぐる 法師蝉

             法師蝉 鳴きて一拍 逃げ迅し
             法師蝉 鳴くも逃ぐるも 忙しなく

             法師蝉 鳴けば休暇の 終りなる
             つくつくし つくづく思ふ 終の刻


             凡々と 死ぬな生きよと 秋の蝉
             杜の木に とまりてよりの 秋の蝉

             秋蝉や み~んみんみん なにもみん
             時々は 鳴きごゑ絶えて 秋の蝉

             掌にのせて 飛ぶもかなはぬ 秋の蝉
             里山に 一抜け二抜け 秋の蝉

             秋蝉の 切なきほどに 細きこゑ
             妻恋の 声整はず 残る蝉

             遠鳴きて 耳を離れず 秋の蝉
             薄命の 声のかぎりを 秋の蝉

             夏の蝉うるさし 秋の蝉かなし
             総身を 声にするかに 秋の蝉

             秋蝉の 命短し 絶唱す
             秋蝉の 身は細りても 声澄める

             秋蝉や 死の影ひきて 鳴き急ぐ
             息絶ゆる 際も選べず 蝉の秋

             秋の蝉 三日見ざれば 死にをるよ
             鳴きながら いのち死にゆく 蝉の秋

             移ろひの 名残りの刻を ちつち蝉
             秋蝉の ことに日暮れの 名残り声

             秋蝉の いまを鳴かねば 時止まる
             秋蝉や 雲はちぎれて 海境へ

             残る蝉 いのち傷みて 声なせず    俳子

                 ヒグラシ

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