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         秋…かなかなや 里びと眠る 朝まだき
           かなかなや かはたれ時の 森木立

           ひぐらしや 夕日沈むも さびしらに
           蜩や ゆきあひの空 夕暮れて

           かなかなかな 淋しき闇が おとひ来る
           かなかなの 鳴きてぞ哀し 隠れ里

           ひぐらしや 人の命の はかなくて
           かなかなや 心に疼く 響きもち

           ふるさとや 夕ひぐらしの 声遠く
           かなかなは遠し 心に近く鳴き

           夕暮れて ひぐらし遠く 風に鳴く
           ひぐらしや 天の奥処も 暮れそむる
           蜩や 暮れそで暮れぬ 兵が墓

           ひぐらしの 暮れゆくまでの 細きこゑ
           ひぐらしや 日暮れて声の 消え細る

           ひぐらしや 暮れゆく森の 小暗がり
           ひぐらしや 村のはづれの 森暗し

           かなかなは かなかなかなと 鳴きにけり
           かなかなは 切れ字大事と 鳴きにけり

           夕ひぐらし 朝かなかなの 有馬宿
           ひぐらしの 鳴くは朝一 夕仕舞

           朝かなかな 昼あぶら蝉 夕ひぐらし
           ひぐらしの 鳴くに強弱 高低音

           蜩や その日暮らしの 一ト日過ぎ
           蜩よ わが身焼かるる ときも鳴け

           夕空に 遠ひぐらしの こゑ残る
           かなななの 鳴きて六甲 黄昏るる

           ひぐらしや 夕日の落つる 音が中
           蜩の そら音残れり 日暮れ空

           ひぐらしや 朝より夕の 声かなし
           死に近き 身なれば聞かむ 蜩の声    俳子



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