銀 杏 散 る  *

         秋…大銀杏 もみづるなかや 肩車
           こんなにも 多く育てて 銀杏散る

           ジュラ紀より 億万回目 いてふ散る
           太古より 降り継ぐごとく 銀杏散る

           無窮へと 後先もなく 銀杏散る
           銀杏散る 大き空より とめどなく

           天よりの 黄葉ふぶきや 銀杏散る
           日のかけら 降り来るやうに 銀杏散る

           空の黄を 地の黄に変へて 銀杏散る
           銀杏散る 空も大地も 黄金なし

           夕暮れの 風のひと押し 銀杏散る
           空といふ 無限に銀杏 散りやまず

           サルトルに 焦がれし日々も 銀杏散る
           l'humanitéを 思ひし我も 黄落期

           大師堂 しのぐ高さに 銀杏散る (大龍寺)
           惜しみなく 色葉を散らす 一大樹

           少しづつ 死にゆくにさまに 黄落す
           黄落に 泪しやまず 終の果

           裏を見せ 表を見せて 銀杏散る
           銀杏散る 影拾ふかに 手を伸べて

           銀杏散り かつまた実なす 幾星霜
           黄落を 裏彩色に 須磨の松

           老いゆくや 大黄落の 片隅に
           散る銀杏 墓地には崩れ 煉瓦塀

           死ぬといふ プログラム持つ 人の秋
           黄落期 ななめ半分 黄昏れて

           銀杏散る 栄華を偲ぶ 老楽士
           めげるなや ロマンスグレーが 黄落期

           銀杏散る 無欲無明の 大往生
           銀杏散る 輪廻生死を 思ふとき

           生き様が ままの死に様 銀杏散る
           銀杏散る わが晩節の しづごころ    俳子

               大龍寺本堂前の大銀杏

             大龍寺本堂前の銀杏落葉

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