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          夏…海霧の 向かふは淡路 浮が島
            海霧濃しや 船影ひとつ 現れて消え

            六甲の夏 朝霧の消えやすし

          秋…朝霧の 鉄橋渡る 汽車の音
            単行の 鈍行列車 霧を出ず
            谷は濃く 尾根には淡き 朝の霧
            盤石の 山も動くか 霧動く
            麓へと 下る朝霧 山動く
            形なす ことなく朝の 霧流る
            朝霧の 里や日本の 古ふるさと

            六甲の 三十五峰 霧を吐く
            山を出て 空を転がる 霧の粒
            山動き をるかに霧の 動きけり
            六甲の 動くと見れば 霧の朝
            緬羊の 貌かたまりて 霧の中
            しばらくは 桧山杉山 霧襖
            行き行けど 霧また霧の 深山かな
            霧しぐれ 服の濡るるを 拒めざる
            霧暗し 山をまるごと 呑みこみて
            幾曲り すれば峠か 霧深し
            尾根険し 風の姿に 霧流れ
            霧晴れて 六甲山姿 明らかに

            風と来て ダム天端を 霧走る (石井ダム)
            霧晴れて 妙号岩の 南無阿弥陀

            谷をはひ 尾根を越えゆく 朝の霧
            山霧や 尾根を越ゆれば 風となる
            幽谷や 鼻の先より 霧出でて
            地獄谷 流るる霧を ひそませて
            峰に湧く 霧をまとへり 摩耶天狗

            猪名の野や 有馬の山に 夕霧立つ
            湯煙に 霧の加はる 湯本坂

            朝霧や 丘を下りて 海に落つ
            一舟の 行きて還らず 海霧(じり)深し
            霧月夜 タンカー船が 沖をゆく
            夜霧濃し あるかなきかに 誘導灯
            出港の 長三声や 夜霧濃し
            船笛や 夜霧の深き 底ひより
            長汽笛 明石海峡 霧襖

            霧深し 昼舷灯の かすむほど
            早走る 船はあらじも 霧が海
            跳ね橋の 跳ねてハーバー 霧深し
            霧深き 沖より巨大 コンテナ船

            朝霧や いつもは街の 見ゆる丘
            諏訪山や 港こうべの 遠霧笛
            長三声 港はなるる 夕霧笛

            夕霧に 佇むひとや 浮御堂 (須磨寺公園)
            夕霧や 愛しきひとを 攫ひゆく

            夕霧の 向ふが遠し 須磨の浦
            須磨の辺や 音たてて霧 迫りくる

            夕狭霧 ここが死に場所 終の処所
            女狐や 霧に隠れて しのび泣く

            Lady of the Lake 霧の中より 白き馬
            朝霧や 湖畔を駈くる 青き馬

            女護島の 恋待ち橋は 霧が中
            Frankly 声失ふほどの 五里霧中

            十字架も イエスも遠し 霧の中
            うつし世や 野辺の仏も 霧の中
            墓地山や 香煙のごと 霧流れ

            霧出でて 薄れあかりの 摩天楼
            霧深き 町にさびしき 方示燈

            雨霧に くもる眼鏡を 拭ひけり
            隧道の 闇を出づれば 霧の秋 (湊川隧道)

            出港や 霧にかひなき 手をふりて
            霧雨や 停泊船の 灯がともる
            街の灯や 山も港も 霧の中

            霧の夜や 見えず聞こえず 言葉なく
            霧の声 君の背中に 届くまで

            見えますか 聞こえますかと 霧のひと
            死にますか 夜霧の波止に 死ねますか

            君が香や 夜霧に濡るる 黒き髪
            霧匂ふ 君が涙を 拭はばや

            霧みなと 君が手を振る 袖を振る
            遠ざかる 後ろ姿が 霧を呼ぶ
            霧は黄に 人は灰色 影法師

            Love is over 霧の向かふに 行きたしよ
            さびし夜や 霧に愛なく 光なく

            流るるや 夜霧濃くなり 淡くなり
            霧の夜や 別れの声の 追ひつかず

            漂泊や 乗り継ぎ駅は 霧が中
            単行の 鈍行列車 霧を出ず

            霧の夜の 粋なマドロス リーゼント
            霧の夜や 船は出てゆく 悲は残る

            伝へてよ 霧の港に 君待つと
            長霧笛 神戸みなとの 夜はふけて

            遠会釈 霧の晴れたる 明るさに

           冬…冬霧を 抜けてステルス 戦闘機    俳子




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