台    風 *

        秋…初風や 里曲に風の 又三郎
          初嵐 転校生が やつて来る

          お相手は 才色兼備 初嵐
          美女率を 云ひだす男 初嵐

          驚天の 空吹き飛ばす 初嵐
          初嵐 日本列島 反り返る

          胸騒ぎ 台風前の 静けさに
          遠野分 空の青きを いぶかしむ

          千切れつつ 雲が雲押す 野分前
          群雲の 乱れて迅き 野分前

          台風に目あり 風雨の舌長し
          雲迅し 揚船多き 野分前

          風に怖ぢ 雨におののく 秋初め
          初嵐 水門閉ぢて 迎へ撃つ

          台風の 渦の画像の 幾何学美
          反時計 廻りの狂気 野分来る

          野分来て 原なす草の 粘り腰
          野分来て ドミノ倒しの 野草かな

          空うめく 野分直下の 暗がりに
          野分来て 風の限りを 吹く夜かな

          秋なれや 天地荒ぶる 秋津島
          台風下 水難日本 漂流中

          野分来る 島弓なりの 大八州
          野分来る 日本列島 総すくみ
          台風の 虚ろなる目に 魅入られて

          台風や 荒ぶる水に 海溺れ
          野分来て 橋の主塔の 揺るぎなし(明石大橋)

          天網の 疎にして漏らす 秋大雨
          滝壷に 水抛りこむ 秋出水

          秋出水 喬木根ごと 倒さるる
          山動き 崖は崩れて 秋出水

          崩落の 山が涙痕 秋出水
          秋出水 なべてを呑みて 川濁る

          人生の 台風圏の ただ中に
          青春の 墓標の傾ぐ 野分あと

          野分過ぐ 人寄せつけぬ 川の嵩
          山川に 祈りて鎮む 秋出水

          台風の 去りても深き 傷癒えず
          懲りもせず 二百二十日の 後憂ひ

          野分過ぐ 道に横たう 骨の傘
          台風の それて海抜 零の街

          野分過ぐ 空の真青に 風残る
          野分過ぐ 汚れし空を 吹き清め   俳子

  台風10号の雨雲レーダー(2020年09月06日)  日本気象協会 tenki.jp より無断転載

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