蜻     蛉  *

           秋…前へ行き また戻り来る 盆とんぼ
             隣り世に 行きつ戻りつ 盆とんぼ
             またしても 精霊とんぼ Uターン

             盆とんぼ 風の変れば 向きを変へ
             幼さにも 捕れる高さに 盆とんぼ
             盆とんぼ 殺めて祖母に 叱らるる

             ご先祖の 使ひなるとや 盆とんぼ
             古る塚や 仏蜻蛉の 迷ひ来て (塩屋・源平合戦戦歿者供養塔)


             水を出て 空を自在の 蜻蛉かな
             蜻蛉生く 水陸空の 三界に

             池面より わづか一寸 蜻蛉飛ぶ
             長谷池を 行きつ戻りつ 蜻蛉飛ぶ

             穂高湖の 藍より抜けて 秋あかね
             とんぼうの 池の光に 飛びたちぬ

             わが視野の 外より内へ 鬼やんま
             段畑を 真直ぐに低く 鬼やんま

             不転退 とんぼは飛びし あとを見ず
             平成の 御世を睥睨 鬼やんま
             やんま飛ぶ 使ひきれざる 空余白

             とんぼうの 身を反らせてや 竿の先
             とんぼうの 杭を離れて また杭に

             とんぼうの 逃げてはもどる 竿の先
             目を回す 蜻蛉になれと 回す指

             とんぼうの 赤目青ん目 ぎよろりの目
             刹竿の蜻蛉 仏を敬はず

             石を噛むかに とんぼうの顎動く
             口開けて もの云ひ顔の 青蜻蛉

             隠沼(こもりぬ)の淀みや つがひ蜻蛉来る
             蜻蛉つるむ 古生代より 連綿と

             翅深く 沈めて憩ふ 蜻蛉かな
             とんぼうの 休めば沼の 時とまる

             石の上に 影をつくらず 秋茜
             とんぼうの 翅すりあはす 谿しじま

             とんぼうの 翅の影だけ 水翳る
             古池や 蜻蛉の影の 揺れもして


             とんぼうの 翅に映えたる 空の色
             とんぼうの 目には野の色 山の色

             捨て畑の 吹かれて殖ゆる 蜻蛉かな
             網追ひの 吾子の上した 蜻蛉飛ぶ

             緑眼を 夕日にそめて 蜻蛉飛ぶ
             追ひつけぬ 距離にはあらず 蜻蛉飛ぶ

             夕映えの 西へ極楽 蜻蛉飛ぶ
             蜻蛉逃ぐ 後ろ姿の 消えやすく

             明日もまた 野駈け山駈け 夕とんぼ
             帰ろかな 夕焼とんぼの 消えぬまに    俳子

               シオカラトンボ(雄)

              シオカラトンボのつがい

               コオニヤンマ

    前頁(秋の夕焼)へ  この頁のTOPへ  次頁(赤蜻蛉)
 「蜻蛉」関連ページ…糸蜻蛉(夏) 川蜻蛉(夏) 赤蜻蛉(秋) 蝶蜻蛉(秋)
  575 俳子ワールド
 俳子の俳句横丁
 俳子のインターネット歳時記
        INDEX版
 神戸観光名所歳時記
 須磨・句碑めぐりの旅
 俳子の守破離俳句
 俳子の独断状
    ホームへ

 俳子のインターネット歳時記 秋


 俳子のインターネット歳時記 写俳版