冬 * 冬…冬めきて 緑やさしき モスライト 落胆の 胸の奥まで 冬ぞ来ぬ まなうらに 山河ありけり 瀬戸の冬 冬湯治 柔肌なじむ 湯湧の湯 鼻あげて 高鳴く牛や 牧の冬 開墾の 畑を捨てたる 農の冬 冬ざれて 大樹が幹の 力瘤 荒野にも 音はありしか 冬ざるる 外に出でよ 心の縮む 冬なれば 針の目に 糸を通せぬ 老の冬 皺深き 首筋よりや 老の冬 捨つるもの あればまだまだ 老の冬 犬もまた 足より老いね 冬散歩 老いゆくや 冬の夕日の 沈む丘 冬酒場 腕に錨の 刺青の ライターに ぽつと火のつく 冬酒場 冬地震や あの日あの時 この場所で 冬地震に 身も世もなしに 泣きしひと 貝の冬 地層に残る 地震の跡 天秤の 片方にのる 地震の冬 寒朝や 地震の記憶の ひび割るる ひとりでは死ねぬか 冬の情死行 笑うてと 言はれて冬の 顔歪む 千の手を 背負ひて重し 冬観音 冬湖の 底ひに眠る 犀の骨 森の冬 鳥のかたちに 骨遺る 剥製の 鳥の目光る 冬の底 海暮れて 山暮れ残る 須磨の冬 去りゆくは とはに帰らず 須磨は冬 漆黒の 空が蓋する 里の冬 冬深し 露西亜紅茶に 蜜の味 逢ひたくて 冬の裏道 小走りに 手をつなぐ 温もり欲しき 冬なれば パスワード忘れて 冬を解けもせず 冬を解く 気配だになし 窓閉ざす いにしへの 大王眠る 墳の冬 冬マッチ 身捨つるほどの 祖国なし 落城の冬や 万骨枯るるかの 厳冬の その結び目の 頑固にて マドラーで 均すカクテル 冬ぬくし 冬の家に 肩寄せ合へり 闇なごむ 日あたりて 結び目かたき 冬を解く 俳子 |
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