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        冬…狐跳ね 狸這ひ出る 霜の夜
          青白く 光りて妖し 狐の目

          ひもじきか 夜はさびしか 狐鳴く
          吾子泣くな 泣けば狐が 魂奪ふ

          寒月下 肌のただれし 老狐鳴く
          毛繕ひ するもかなわず 狐老ゆ

          雪女 出さうな夜を 息細く
          雪やこんこ 狐こんこん 今夜来ん

          狐火や 闇でまなこを 洗ふ間を
          狐火や 貧家に小さき 夜泣きの子

          狐火や 真闇が闇を みがく真夜
          闇あらば 闇を燃やして 狐火に

          たましひを 攫ひて狐火 遠ざかる
          狐火や 三途の川の 橋渡る
          狐火や この世あの世の 魂迷ふ

          野狐の 痩せ骨きしむ 寒の朝
          狐火の 正体見たり 諏訪稲荷    俳子



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