マ ス ク * 冬…マスクして 隠しきれざる 顔やつれ マスクして 隠しおほせぬ 目のゆらぎ 妻帰る マスクで隠す 内緒ごと マスクして 真顔を見せぬ 人となる マスクして 流し目使ふ 色白女 マスクして こころ半分 隠すひと マスクして みな美しき 人となる マスクして 声にのせざる 恋の唄 おばちゃんの マスク豹柄 よく吠ゆる マスクして 軽口たたき やすくなり マスクして 上へ下への 長寿眉 マスクして 街を闊歩の 老い大将 愛用の フェイク・ニュース 柄マスク かしましや マスクは顔に 履くパンツ 秘むれば仏 口に闇置く 黒マスク 怪しくも 市内某所に 黒マスク マスクして 顔半分の 海坊主 マスクして のつぺらぼうの 貌となる マスクして 笑ひ失ふ 人となる モナリザの 笑みもつひとに マスクかな 街行くは マスクに眼鏡 深帽子 飯喰ふも マスク外して また付けて 吊皮に マスク失語の 五六人 マスクして 電車の客の 黙深し マスクとる 闇の仮面を 外すべく 使ひ捨て マスクを捨つる 労働者 マスクして 正義唱ふる 人ばかり マスクして 免疫不全 症候群 乱世なり マスクで隠す 嘘まこと 嘘まこと 半分づつの マスクの世 マスクして 世人の言葉 うすく吐く マスクして 浮き世の義理を 果たすとや 春…長髪の 耳美しき 春マスク ジョギングと うがひ手洗ひ 春マスク 春マスク 実話噺も 嘘めきて 春騒然 マスクで隠す 嘘まこと 春闇の 街彷徨の 黒マスク ただならぬ 世を飄々と 春マスク 一憂も 一苦も隠す 春マスク 夏…夏マスク のせて無言の 電車行く 黙といふ 凶器飛び出す 夏マスク 黙乗を ただ黙受して 黙の夏 行く人みな マスク・ロボット 街薄暑 紅ささぬ 唇さびし 夏マスク 梅雨湿る マスク美人の 口元も 夏マスク 味方のやうな 顔をして マスクして 額に汗の やさをとこ 炎天へ いざ出撃の 白マスク 口元に マスクが跡の 日焼跡 「ウイルス」の 虜囚となりて 夏マスク イスラムの ブルカのやうに 夏マスク 呪われし 者らが烙印 夏マスク 言はざるが 身のためなりと 夏マスク 夏マスク 箝口令の 世にも似て 生きづらき世や 息つらき夏マスク 人の間を はかりて淋し 夏マスク 俳子 |
手作り布マスク |
前頁(冬帽子)へ この頁のTOPへ 次頁(冬の燈1)へ |
575 俳子ワールド |
俳子の俳句横丁 |
俳子のインターネット歳時記 INDEX版 |
神戸観光名所歳時記 |
須磨・句碑めぐりの旅 |
俳子の守破離俳句 |
俳子の独断状 |
ホームへ |