水     鳥   *

          冬… 四五羽来て 気配一変 鴨の水
            長空を 飛び来たりてや 浮寝鳥

            払暁に 池いつぱいの 鴨のこゑ
            あち向くも こち向くもゐて 池の鴨

            攻めるでも 守るでもなく 鴨の陣
            陣形の 乱れしままに 鴨日和

            溜池に 羽音水音 鴨のこゑ
            大池に 逸ぐれて遠く 鴨鳴けり

            綾なして 沼面の皺む 鴨の陣
            前方に 敵は見えねど 鴨の陣
            一水も 広きと思ふ 鴨の陣

            増えもせず 減りもせずして 鴨の陣
            交じりても 共に乱れず 鴨の陣

            折々や 池面をわたる 鴨のこゑ
            水の上に 声を重ねて 鴨鳴けり

            鴨翔べり 光の粒を 撒きちらし
            水鳥や 水かきわけて 離着水


            尾長鴨 臆面もなく 尻出して
            水鳥の 尻立て潜る 池の淵

            溜池の 水禽群れて 争はず
            鴨池の 水輪のなかに 水輪置く

            群鴨の 潜りつ浮きつ 鳴きにけり
            鴨鳴くや 応ふる鴨の なきままに

            隠沼は 雲の遊び場 鴨騒ぐ
            隠沼や 吹かれて消ゆる 鴨の声

            隠沼に 墜ちてたちまち 浮寝鳥
            隠沼の 水面を均す 浮寝鳥
            水の青 そこだけなくて 浮寝鳥

            浮寝鳥 醒まさぬやうに 水動く
            浮寝鳥 醒めてにはかに 水の紋

            浮寝鳥 醒めて輪をなす 水の皺
            水を掻く 鴨に水の輪 従ひぬ

            浮寝鳥 去りし池面の 整はず
            闇よりも 黒き水あり 冬の沼


            冬池や 羽あるものは 羽休め
            やはらかき 水面乱さず 浮寝鳥

            夕暮れて なぜに騒ぐや 鴨の声
            鴨鳴きて 水に皺なき 日暮れかな

            水鳥を 収めて静か 里の夜
            隠沼の 闇に影なす 浮寝鳥

            鴨鳴きて 野沼の鈍き 水明かり
            水鳥の 濡羽かがやく 朝まだき

            変幻の 光と水と 鴛鴦と
            水鳥や 沼の光を 漕ぎ分けて

            時とまる ぼどの潜水 かいつぶり
            平らかな 水面破りて かいつぶり

            寒の鴨 尻つき出して 藻をあさる

            風あらば 風に向かひて 鴨翔てり
            翔つ鳥の 姿美し 冬の朝
            群鴨の 翔ちて彩なす 水の紋    俳子


   

                


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