落  葉 ( 1 )  *

          秋…一抜けて 二三も抜けて 黄落す
            老いゆくや 大黄落の 片隅に

          冬…奥山は 風棲むところ 木の葉散る
            落つる葉に 心のあらば 哀のこゑ

            一木の ひと葉の散るや 全山へ
            踏みしめる 足に弾力 初落葉

            地に触れて 落葉の音の なきがごと
            吹きまろび 吹きだまりてや 谷落葉

            川落葉 沈みもせずに 一葉行く
            谷筋の 落葉の底の 溜まり水

            森大樹 落葉の中に 眠るかに
            落葉なか 色の褪せざる 紅一葉


            風と来て 風につまづく 落葉かな
            落葉追ふ 落葉を追ひて 風走る

            裏返り 表に返り 落葉とぶ
            夕べには 落葉となりて 吹き溜まる
            村々の その辻々の 木々落葉

            庭石に つきて離れぬ 濡れ落葉
            流されて 果ては底ひの 濡れ落葉

            結局は 暗渠に沈む 濡れ落葉
            歳知らぬ われにな見えそ 濡れ落葉

            いづこかに どれも傷もつ 落葉屑
            落ちつむる 葉屑ぬるるが ほどの雨

            言の葉は 落ちてゆく葉や 吹けば飛ぶ
            座ること できぬ古椅子 落葉積む


            背ナ曲げて とぼとぼとぼと 落葉道
            森深し ぬかるみ多き 落葉道

            落葉道 日向をゆけば 音軽ろく
            踏みしめて 日陰落葉の 音湿る

            この道は 落葉降る道 積もる道
            落葉踏む 音に遅れて 靴の音

            足音を 追へばふるさと 落葉道
            落葉踏む かそけき音の 前うしろ

            落葉踏む 昼でも暗き 尾根の道
            歩をゆるめ 息をゆるめて 落葉中

            溪谷や 雲踏むごとき 落葉道
            存らうて 今日晩年の 落葉積み

            散ることに 華やぎありて 山落葉
            我もまた 土に還る身 落葉踏む

            朽ち積むる 落葉が上に 落葉積む (徳川道)
            朽ちかけの 落葉に埋もる 歴史道

            千年の 森に万余の 落葉積み
            千年の落葉や 今も降り積むる
            千年の落葉 万古の葉木化石

            落葉朽ち 土にもどるを 踏みてゆく
            落葉踏む 須臾の命を 惜しみつつ


            落葉掃く 端から木の葉 散り積むる
            赤や黄の 光集めて 落葉掻く

            落葉掻く 掃き寄るもの みな軽ろし
            落葉掻く 青年僧の 青頭

            落葉掻く ひと掃きごとの 後憂ひ
            落葉掻く 仕舞のつかぬ 庭箒

            落葉掻き 飽きたるころの つむじ風
            Blowin’ in the Wind 答えはいつも 落葉なか

            煙立つ 見れば里曲の 落葉焚
            眠さうな 煙すぢなす 落葉焚

            落葉焚く 煙にむせて 待つ子らよ
            傷のなき 落葉ではらふ おやつ代

            色を掃き 色を集めて 落葉焚く
            落葉焚く 命の果ての 煙立つ

            死なばみな 元の木阿弥 落葉焚く
            落葉焚く 空には煙 地には灰    俳子



               徳川道の石積み

               森林植物園の展示品

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